【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
…ううん、違う。
そういう理由もあるけど、それは建前だ。
私自身が堂々と生きていきたいだけ。
ちゃんと施設に認められた卒業をして、後ろめたい気持ちなんか一切なく出ていきたい。
そうすれば、縛られた過去から解放されるような気がする。
「またいつでも来いよ」
考えていた頭に優しい声が響く。
顔を上げると、陽介が目尻を下げて笑っていた。
「俺はさ、親が迎えくる前から逃げてたじゃん?」
そうだった。
陽介と棟が離れてから全然会わなくなり、迎えに来るって聞いた時に初めて知ったけど、陽介はほとんど施設に帰らなくなってた。
母親が迎えに来なかったら、救護院行きだったかもしれないと笑っていたのを思い出した。
「理由は違うだろうけど、逃げたくなるくらい辛い時があるのは分かるから。逃げ場があるって思ってれば、多少楽だろ?」
そういう理由もあるけど、それは建前だ。
私自身が堂々と生きていきたいだけ。
ちゃんと施設に認められた卒業をして、後ろめたい気持ちなんか一切なく出ていきたい。
そうすれば、縛られた過去から解放されるような気がする。
「またいつでも来いよ」
考えていた頭に優しい声が響く。
顔を上げると、陽介が目尻を下げて笑っていた。
「俺はさ、親が迎えくる前から逃げてたじゃん?」
そうだった。
陽介と棟が離れてから全然会わなくなり、迎えに来るって聞いた時に初めて知ったけど、陽介はほとんど施設に帰らなくなってた。
母親が迎えに来なかったら、救護院行きだったかもしれないと笑っていたのを思い出した。
「理由は違うだろうけど、逃げたくなるくらい辛い時があるのは分かるから。逃げ場があるって思ってれば、多少楽だろ?」