【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
その日の夕方、陽介が施設まで送ってくれた。


携帯以外何も持たずに出たのに、紙袋2つの荷物。


「本当にありがとう。ちゃんとお礼するから」


「じゃ、働くようになったら初給料で飯奢れな」


笑って頷いた。


フーッと深く息を吐き出し、緊張する胸に手を当てた。


車のドアを開けると、陽介も車を降りる。


後部座席に置いていた2つの紙袋を持ち、施設のインターホンを押した後ろ姿に、ハテナマークだけが浮かぶ。


え…?何してるの?


しばらくすると、山本とさっちゃんが門に走ってきた。


山本の姿を目にして、とっさに陽介の後ろに隠れる。
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