【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「てめーなぁ…」


「山本先生!」


怒鳴ろうとする山本を、さっちゃんが止める。


いつもならさっちゃんの意見なんて聞かない山本が、言葉を止めた。


「はるちゃん、落ち着いた?」


私の両手を取りながら、さっちゃんが優しく聞いてくる。


小さく頷くと、よかったと口元に笑みを浮かべた。


「おいはるか…、自分のしたこと分かってんだろうな」


「申し訳ありませんでした」


土下座じゃ済まないだろうな…。


刑務所何日入るんだろ。


むしろボコされるかな?


謝りながらも、頭の中でそんなことを考えていた。


「陽介から連絡なかったら大事になってたって自覚してんのか!?」


山本が怒りを抑えながらも怒鳴ってる。


そんな山本の顔を思わず見上げた。
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