【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
私はさっちゃんのことを偽善者だといつも思っていた。


子供たちのことを考えて…なんて言ってるけど、親に捨てられてもいないあんたに何が分かる?


そういつも心の中で反発していた。


辞めたければいつでも辞められる。


逃げ場なんかたくさんある。


そんなあんたの言葉が信用できるはずないじゃん。


幸せに育ってきた人間が、私に何をできる?


親にもらえなかった愛情をくれる?


家族の温かさを感じさせてくれる?


人を信用する勇気を教えてくれる?


そんなのあんた自己満足なだけでしょ。


親の変わりなんて誰にも勤まらない。


捨てられた傷は埋まるはずがない。


一生懸命接してくればくるだけ、イライラした。


さっちゃんを見てると自分がどれだけ不幸かなのを痛感したから。
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