【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「あの時話し聞いてくれてありがとね」


お礼を言うと、さっちゃんの目が赤くなっていく。


「感謝なんかしないで…私…本当に最低なことして…謝っても謝り足りない…」


首を横に振りながら、顔を俯けるさっちゃん。


さっちゃんもあの時のことをずっと引きずっていたんだ…。


「仕方ないよ。さっちゃんまだボランティア学生だったし、施設に報告するのが妥当だったって今は思ってるから」


「でも!!私がもっとちゃんと考えて行動したてら…はるちゃん傷つかなくて済んだんだよ」


そう言って両手で顔を覆い泣き始めた。


「さっちゃんが言っても言わなくても、元々苦しんでたことだったんだよ。あの時恨んだのは事実だけど、さっちゃんが一緒に泣いてくれたのも事実じゃん?さっちゃんが話聞いてくれてなかったら、今私生きてなかったと思うもん」

ぽんぽんとさっちゃんの背中を叩きながら笑った。


あのことを思い出しながら笑えたのは、初めてだった。
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