【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
小学校4年生の鎌倉遠足の日、私は自殺を考えていた。


1番好きだった行事。


1番好きだった稲村ヶ崎の夕日を見てから、死のうって思っていた。


あの子が飛び降りた時、赤い月が後ろに残ってた。


だから、同じように私も赤い夕日の中飛び降りようかなって。


周りには写真を撮ってる人やカップルが数組いたけど、そんなこと気にせず木の柵に座った。


危ないよと戸惑いながら言うおじさんに、笑って大丈夫と返事したのを覚えている。


太陽が沈むのを待ちながら、色んなことを考えた。


何で自分はこんな人生だったのかな。


次生まれ変われるなら、普通の子供になれるかな。


自殺したら成仏できないって本当かな。


そしたら母親を思う存分呪えるじゃん。それはそれでいいかもね。


そんなことを考えていて、太陽がゆっくりと傾き赤く染まっていく。


頬に冷たい風が当たり、体がオレンジ色に照らされた。
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