【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「おにぎりとか珍しいね」


渓が私の隣に座りながら言う。


「ギチョウのコンビニ行ったらサンドイッチ売り切れてたんだ」


へー、と返事をしながら鞄から化粧品を取出し、鏡を覗き込む渓。


渓はいつもここで化粧をしていた。


幅の狭い二重がコンプレックスと言いながら、つけまつげをつけて幅広の二重にする。


それだけでも渓の印象は変わった。


白いアイシャドーを塗り、目頭をくの字に囲むように白いアイライナーを引く。


つけまつげの上には太くひくというか、塗るアイライナー。


下まつげは繊維とマスカラを塗りたくる。


完成したアイメイク。


渓の目の原型は黒目と白目くらいだった。


そんな渓のメイクを見ながら、色んな話をするのが日課になっていた。
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