【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「期末もうすぐでしょ?周りピリピリしてない?」


ピリピリ?


首を傾げる私を見て渓が笑う。


「中3の2学期の内申が1番重要なんだよ(笑)」


あぁ、何かそんなこと聞いた気がする。


自分には全く関係ないことだから、忘れてたわ。


…そっか、今みんな必死な時期だったんだ…。


康平が最近イライラしてる理由がやっと分かった気がした。


康平とは今もまだ付き合い続けてる。


直樹が好きだと自分で認めてるクセに、康平と一緒にいる自分は最低だなと思う。


でも、康平が嫌いなわけじゃない。


直樹と付き合いたいって気持ちも今はない。


別れる理由が見つからなかった。


…そうあの頃は思っていたけど、それは言い訳でしかない。


別れたくはなかったんだ。


学校の中で康平と一緒にいるのが当たり前で、その当たり前の時間がなくなるのが怖かった。


康平と過ごす時間が、私にとってすごく心地よかったから。
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