【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「渓はどこで過ごすの?」


待ってましたと言わんばかりに笑顔でペラペラ話しだす。


渓はクリスマスは彼氏もいないし、地元の友達と飲み明かすと言った。


「1000年代最後とか関係ないじゃん(笑)」


そう笑うと頭を軽く叩かれた。


カウントダウンは高校の友達と桜木町かシーパラかなと言っていた。


私は施設以外でカウントダウンをしたことがないのでよく知らなかったけれど、横浜だとその辺りが定番らしい。


渓が楽しそうにカウントダウンの話をしているのを見ていて、大晦日だけは夜中までテレビが見れるのを楽しみにしていた私は小さいなと感じた。


「…まぁ、本当は両方好きな人と一緒にいたかったんだけどね」


飲みかけていたお茶が口からこぼれそうになった。


「好きな人!?」


今までそんなこと言ったことがない。


好きな人がいそうな素振りもなかった。


渓から聞く男友達の話は、地元や高校でアホなんだという笑い話か、陽介と直樹のことくらい。


片思いしてますハート的な話なんて欠片も感じたことがなかった。
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