【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「フラれるのは分かりきってたけど、実際フラれるとキツいわ(笑)」


ケラケラではなく、ははっと悲しそうな笑い方をした。


「…後悔してる?」


「後悔…」


空に向かって煙を吐き出し、少しの間考える渓。


「してるけどしてない」


にこっと笑った渓の笑顔は、すごく綺麗に見えた。


「会うの気まずいなとか、今までみたいにいられないかなとか思うと、告らなきゃ良かったって思うけど、ずっと溜めてた気持ち吐き出せてスッキリもしてる」


「そっか…」


まばたきをしながら渓から視線を外したのは、私ならそんな風に前向きに考えられないって思ったから。


きっと後悔しかできない。


渓みたいにプラスに考えられる性格が、すごく羨ましく思えた。
< 333 / 358 >

この作品をシェア

pagetop