【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
それから数日後、学校の卒業遠足でディズニーランドへ行った。


陽介とキャバクラの面接の話しで電話をしている時に、言われて気づいたことがあった。


私は、きっと陽介の言うように母親から与えられなかった愛情を求めてる。


自分から人を好きになれなかったのは、愛されたことがないから愛し方が分からなかったんだ。


人を信用するのも怖かった。


裏切られることしか考えられなかったし、これ以上傷をつくりたくなかった。


今まで、康平に何かしてあげたいなんて思ったことはない。


康平といると幸せだ、なんて思ったこともない。


ただ好きでいてくれる康平に、安心感だけを抱いてた。


それでも、私は向き合わなかったし同じだけを返そうとも思わなかった。


本当に、欠けた部分を埋めてほしかっただけなんだ…。


康平の優しい笑顔も、いなくなった陽介を埋めていたのかもしれない。


最初に康平と話した時、懐かしい笑顔にすぐに陽介を思い出した。


小さい頃からお兄ちゃんのように思ってた安心感を、康平に求めていたのかも。


母親からの愛情と、陽介からの安心感。


なくなっていた2つの物をただ埋めてもらっていただけだったんだ。
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