【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「康平、ごめんね」


卒業遠足の帰り道、学校近くの横断歩道でそう言った。


点滅している青信号を渡ろうとしていた康平の足が止まり、私を振り向く。


「何が?」


キョトンとした顔を私に向ける。


「別れよう」


お土産の袋を持っていた手に、ギュッと力を込めた。


「え…?」


固まった表情をした後、まばたきをしながら小さく笑う康平。


「何言ってんの(笑)」


口元は笑ってるけど、目は泳いでいて戸惑ってるのが伝わってくる。


そんな康平の顔を見るのが辛くて、顔を伏せた。


「ごめん、私康平のこと好きじゃなかった」


フラれた時は辛いとか思わなかったのに、何で今こんなに心臓痛いんだろ。


傷つけてるのは私なのに、何で自分が傷ついてるような感覚なんだろう…。
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