【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
実感のわかないまま中学の卒業式がやってきた。


これで制服も最後か…。


いつもと同じように着替えるが、しんみりとした気持ちだった。


学校に着くと、机の上にピンク色の造花が置いてあり、ブレザーの胸ポケットに飾った。


「はるか、卒業してもたまには遊ぼうね!」


そうクラスの友達に声をかけられ、笑顔を返す。


みんな高校生になる楽しみが大きいんだろうな…。


周りは高校へ通って青春満喫する中、私はキャバクラで生活費稼ぐのか。


自分でそれを望んで選択したくせに、少しだけ周りの友達を羨ましく妬ましく感じた。


今当時を振り返れば、多分私は高校生になりたかったんだと思う。


普通の子と同じように、高校へ行って高校生でしか出来ない経験をしたかった。


かわいい制服も着たかったし、友達とファーストフードで恋愛話とかしたかった。


体育祭や文化祭、修学旅行や部活。


中学とは違う学校生活をしてみたかった。


だけど、それを望んだって意味のないことだと分かっていた。


自分の選択した道を後悔なんかしたくなかった。


だから、私はきっと大人の世界に入って行くんだと、背伸びした考えで強がっていたんだ。
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