【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「康平!!」


廊下を歩いていた時、そう耳に聞こえてきた声に無意識に顔を上げた。


久しぶりに見る康平の姿が数メートル先にある。


受験の為に黒く染めた髪は、色が抜けたのか明るい茶色になっている。


「お前どこ高行くの?」


「K高。そっちは?」


「N高、駅隣じゃん!遊ぼうな!」


そんな会話が、通りすぎる時に聞こえてきた。


志望校受かったんだ…おめでとう。


口には出せない言葉を心の中で呟いた。


卒業式は泣かないと思っていたのに、雰囲気にのまれたのもあって最後の歌を歌う時に涙が滲んできた。


スレて生意気だったからか、入学してすぐに先輩に呼び出されシメられた。


やり返すしかないだろと、翌日いずちゃんと先輩を待ち伏せしてボロクソに言い負かした。


なぜかそれから先輩たちに気に入られ、色んな悪さを教えてもらった。


タバコもお酒も援助交際も、今思えば全部先輩から教えてもらった事。
< 349 / 358 >

この作品をシェア

pagetop