【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「なつみさんって言う子のお客さんで、常連さんだから話しやすい人だから緊張しないで平気だよ」


私の視線に気付いたのか、もっくんが振り返って言う。


その言葉を聞いて一気に緊張した。


「本日入店のはるかさんです」


「は、初めまして、はるかです。よろしくお願いします!」


「はるかちゃん、座りなよ(笑)」


頭の中が真っ白になって、なつみさんにそう言われるまでギュッと目をつむりながら頭を下げていた。


「何飲む?」


「へ!?」


気の抜けた返事に笑う2人。


「こういう仕事は初めて?」


慣れた手つきで水割りを作りながら、なつみさんが聞いてきた。


「は、はい。あの、席につかせてもらったのも初めてで…。至らない所ばかりだと思いますが、よろしくお願いします」


「初々しくてかわいい」


そうなつみさんは笑ってるけど、グラスに注いでる焼酎半分以上入ってますが…。


なんて言えるわけもなく、乾杯をして一口飲んだ。


うわっ、喉に来る!!


焼酎を飲んだのは初めてで、ビールやカクテルとは全く違う味に顔が引きつりそうになる。


飲めよ。


なつみさんの目つきにそう言っているのが分かった。
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