【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「で、いずちゃんも同じ施設の子?」


陽介が腕時計を見ながら聞く。


「うん…。だから一緒に帰らなきゃ…」


「いずちゃんも一緒に送ってやるから。どこいんの?」


…。


答えられるはずがない。


下を向いて黙り込んだ私の頭に、ポンと陽介の手が乗った。


「…とりあえず施設に連絡しろよ」


差し出された携帯。


私は首を横に振った。


施設に連絡なんかできるわけない…。


陽介のため息が聞こえる。


「いずちゃんはピッチか携帯持ってんの?」


「…いずちゃんにならメールする」


そう言って鞄の中から携帯を取り出した。
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