【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
エスカレーター脇の段差に座り待っていると、


「よっ、久しぶり」


と、眼鏡をかけ制服の襟元で茶色の髪を跳ねさせた男が、片手を上げて私に近寄る。


誰…?


「俺だよ、直樹」



なお…き…?


!?


間をあけて驚いた私を笑う。


「え!?学校行ってたの!?てか、眼鏡!髪!」


驚く部分が多すぎて、早口になる。


「驚きすぎ(笑)一応現役高校生です」


笑いながら、だらしなく巻かれたブルーのストライプのネクタイを持ち上げた。


「眼鏡は、今日コンタクトと相性合わなくてさ。目弱いのかよくあるんだわ。髪は傷みすぎたから気分的に?」


ちゃんと全部の質問に答えてくれるなんて、律儀なヤツだなと感じた。
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