【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「いつもここで何してるの?」


私の顔を覗き込むように、少し前に体を倒し頬杖をつき聞いてくる。


「何となく習慣?」


自分でも理由は分からない。


でも、ここに来ると全てから解放された気がして、気持ちがすごく楽になる。


女の子はまたケラケラと笑った。


「私、ケイって言うんだ。渓谷の渓。名前聞いてもいい?」


「はるか」


「はるかか!かわいい名前でいいな。私なんか名前男にしょっちゅう間違えられるからさ」


そう大きな目を細めて笑って言った。
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