【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「違う、こっち」


そう三日月の形の目で私に近づき髪を持ち上げた。


髪なんて色んな人に触られてる。


なのに、なぜか鼓動が揺れた。


昨日も陽介に触られた時、同じようになった…。


でも、それとは違う。


胸の奥がふわっと温かくなった後、締め付けられるような感覚…。


知らなかっただけで、髪触られるのダメだったのかな!?


「あ、い、1本もらう!」


深く考えそうになる自分に無理やり言い訳して、直樹からタバコをもらった。


「多分制服にも臭いついてんじゃね?」


え!?


直樹の言葉に焦って制服の臭いを嗅ぐが、やっぱり自分じゃ分からない。


「ヤバいなぁ…施設にバレるかなぁ…」


ため息をつきながら呟くが、もらったタバコを吸い込む矛盾。
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