【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
すごいいい匂いがする…。


思わず目を閉じて頬を緩ませてしまったくらい。


直樹が、私の手首を自分の鼻に近づけた。


かすかに鼻が触れる。


「俺この匂い好き」


三日月の目が私を見つめた。


トクン…


そう胸が高鳴って、目が離せなくなっていく。


固まって動けない私。


つけたばかりのエンヴィの匂いが、直樹の甘い笑顔をさらに甘くしているような気がした。


「っつーか、渓遅くね?」


腕時計に視線が移り、私も我に返った。


ゆっくりと高鳴っていた心臓は、緊張からとかれたからか、血が一気に流れ始めたみたいに速くなる。


そんな自分の変化に戸惑いながら、タバコを吸った。
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