【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
「渓もうすぐハマ着くって」


電話をしていた直樹が言った。


「あ、うん」


タバコを地面にこすりつけながら、直樹の顔を見ずに返事をする。


あの三日月の目がいけないんだ。


うん、絶対そう。


三日月の目じゃなくて、エロ目だよ。


そう、甘い笑顔なんて思ったけど、エロ目なだけだ。


さっきのドキドキは、不意をつかれたからだって。


好きなんて言葉言いながら、あんな目で笑ったから…。


あの目はただのエロ目!!


コンクリートにタバコの葉が散らばるほどこすりつけて、自分の中で胸が高鳴ったことを否定した。
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