【実話】かげおくり~また君に恋をしたい~
お湯が指の隙間から落ちていく。


濡れた手のひらから、男にゆっくりと視線を移す。


驚いたような、戸惑っているような、そんな表情をしていた。


「結婚するくらい好きなのに、他の女とエッチしてるってことは別にそこまで好きじゃないってこと?」


「…それって、うさぎちゃん本人に問いかけてるの?」


質問を質問で返される。


「…何か、好きって感情がよく分からない」


そう俯きながらつぶやくと、男は私の手を取った。


?


顔を上げると、口元を緩ませた。


「ドキドキする?」


即首を横に振ったら、男は笑った。
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