割れた砂時計


『遅かったぞ亜実!どこにも行くなよ、ずっと側にいてよ……』


唯に言われた通り、俊の瞳を見た。
私をまっすぐ見ていない。
どこか遠くを見ていて、それが、私の決意をさらに強めた。


「も~散々!唯ったら馬鹿すぎて大爆笑!!笑いすぎてね、涙出たよ」


『ったく、馬鹿は亜実だよ!』


だから、精一杯笑って。
今を、楽しみます。


壊れていく俊を、
怖い俊をこれ以上見たくないから。


かたく、心に決めて。


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