割れた砂時計
「あっ、あの」
『ん?』
「わ、たし…」
上手く言葉がでないの。
何と言えばいいか、まったくわからない。
『俺のこと、嫌い?』
いや、嫌いじゃないの。
そういうわけじゃないの。
ね、俊。
「嫌いじゃないよ」
『そっか、じゃあ好き?』
そう言って、私をまっすぐ見つめる。
いつもそうだ。
まっすぐに私を見つめる。
その瞳は、きれいで。
私は嘘も真実も言えなくなっちゃうような、
そんな、魔法がかかったような瞳だった。