HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「明良、中学が一緒だったよね?中学の先輩に知り合いいない?卒アル持ってたら見せてもらえるかも」
乃亜がしきりにまばたきをしてあたしたちを交互に見た。
「そっか!その手があったか!先輩なら2、3人まだ連絡取ってるから、当たってみる」
明良がぽんと手を打ち、乃亜が満足げに頷いた。
「ねぇついでに頼まれてくれない?」
あたしが乃亜を見ると、乃亜は目をまばたいた。
「中学に行って、あたしのクラス写真か名簿を見てきて欲しいんだけど、それはできる?」
「……やろうと思えばできると思うけど…どうして…?」
と乃亜がまばたきをした。
あたしはノートパソコンをじっと見つめて、頬杖をついた。
「あたしと同じクラスに、久米が居たかどうか知りたいんだ。でもあたしがそのことを探ると相手に動きがバレる可能性がある。
あたしは梶と二人で、久米本人を見張ることにするよ」
乃亜と明良兄はまたも二人して顔を見合わせ、それでも、
「よっしゃ、まかせておけ!俺たちが調べてやるよ」
明良兄が勢い込んで立ち上がった。
右門 アツシか―――それとも久米か―――
二人が二年前の事件にどう関わっていたのか、
あたしは自分の考えに確信みたいなものを覚え始めていた。
―――だけどこのときのあたしは知らなかった。
真実は―――謎という森の中に埋まっていて、いくら彷徨ってもそれを見つけることが
たやすいことでないことを―――