HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
人に恨まれることした覚えはあるかって??
そんなこと―――
あり過ぎて分かんないよ。
と言う訳で、まだ嫌がらせに留まっているからあたしはこのことを誰にも打ち明けていない。
乃亜や梶に話したら、二人は絶対、
「「そんなのストーカーじゃん!」」って騒ぎ立てるに決まってる。
水月に至っては、
「警察に……」なんて言い出して、顔を青くするに決まってる。
警察にいったって現時点でどうにかなるわけじゃない。実際何かあったわけじゃないし。
警察は被害が出てから動く組織だからね。
あれこれ説明するのも面倒だし、あたしと水月の関係がバレるかもしれないことが心配だ。
まぁこれといって被害は出ていないし、あたしはとりあえず相手の出方を伺ってる最中。
きっとどこかであたしのこと見てるんだろうな…
「お前ら暇なら帰れ。俺の邪魔するな」保健医が忌々しそうに眉間に皺を寄せてあたしたちを睨んだ。
あたしはケータイをブレザーの中にしまい入れると、
「あんただけは犯人じゃない気がするわ」
あたしはそう言ってベッドを飛び降りた。