HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「そりゃそのメンバーだったら辞退したくなるな」とまこは意地悪く笑って、煙を口から吐いた。
「いえっ!実行委員はちゃんとやります。最初に手を挙げたのあたしだし…」
と、森本は顔を赤らめて勢い込んだ。
「そっか。良かった」
僕はほっと安堵して、まだ長いタバコを灰皿に捨てた。
久米はともかく、雅と梶田を一緒にすると、何しでかすか分かったもんじゃない。
リーダー格になる生徒がいれば心強い。
「えっと…じゃ、他の用?」僕が聞くと、
「は、はい。あの…実は授業で分からないところがあって」と森本は数学の教科書を開いた。
「ここじゃなんだから、僕の席でいい?」僕は森本を机に促すと、彼女は小さく頷いた。
その様子を黙って見ていたまこは、
「ふぅん」と低くもらして、タバコを灰皿に押し付けた。
「ま、がんばれよ。俺はそろそろ保健室戻るワ」そう言って掌をひらひら振ると、僕に背を向ける。
意味深なその態度が気になったが、
「先生」と森本にせっつかれて、すぐに彼のその様子を忘れた。