HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~

■Forest.11






■Forest.11



◇◇◇◇◇◇◇◇


今日の帰りも、文化祭で居残りをすることになった。


今は空き教室を借りて、演劇に出る出演者たちの台本合わせをしている最中。


「“何てこと!あの憎き白雪姫がまだ生きてるですって!?”」


“魔女”役の乃亜が怒りを込めた台詞を読み上げた。


ってか、乃亜…迫真の演技だな…


女優に向いてるかも。


ちなみに梶はキャストに入っていない。演劇班であるけど、彼は照明係りだ。


まだ久米がストーカーかも、って知らされてないときに決まっちゃったから、梶はあたしたちがこの教室に移動していこうとするとき、酷く心配そうにしていた。


だけどその心配もない。


久米は今日の台本合わせで出番がないし、当の本人は家政科に用事があるとか言ってその教室に足を運んでいる。


一体…家政科に何の用があるって言うのか。


台本合わせは小一時間ほどで終わった。


本番は間に休憩も挟むし、セットの移動なんかでもっと時間がかかるけど。


でもいいペースだ。


お話の流れも分かりやすいし、この台本を作った久米も脚本家のセンスがあるんじゃないか、と悔しいけどそう思ってしまう。


台本合わせも終わり、教室に帰って喫茶店班と合流する者、部活や用事でそれぞれ帰っていく者様々だった。


あたしも教室に戻ろうかと思って乃亜を探したけど、


あれ?


乃亜が居ない。




< 280 / 841 >

この作品をシェア

pagetop