HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
あたしは涙で滲む目で水月を見上げ、まばたきをした。
その拍子に涙の粒があたしの目から零れ落ちた。
水月の言った通りだ。
あたしがしっかりしなきゃ。
「大丈夫。絶対見つかるよ。僕も一緒に探す」
水月はあたしの頬をそっと細い指で撫でて、涙を拭うと優しい笑顔を浮かべて
「さ、行こう」
そう促した。
不思議だね……
水月が大丈夫って言えば大丈夫な気がする。
彼に抱くこの気持ちは、信用?信頼?それともただの勘?
だけどきっと一番しっくりくる言葉は―――
安心
そう、あたしは安心したんだ。
絶対大丈夫だって。
物語に王子さまが登場すると、ヒロインが幸せになれるって感じるように―――
―――水月と使われていない校舎の音楽室とか連なっている廊下を探し回っている最中のことだった。
ヴー…
ケータイが震えて、あたしは慌ててケータイを開いた。
メール受信で、相手は乃亜。
“ひふくじゅんびしつ”とたった一文字…それも漢字に変換されてないメールが届いた。