HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
久米がびっくりして目を見開く。
手のひらが熱をもったように熱い。
あたしの手の中で、僅かにひしゃげた薄い金属。割れたその金属の破片が手のひらを突き刺し、僅かな痛みを覚えた。
「もう一度言う。
乃亜に…ううん、乃亜だけじゃない。
あたしの大切な人たちに何かしたら、ただじゃおかない。
このケータイみたいに、
あんたをぶっ潰してやる。
覚悟しな」
低く言って久米を睨むと、ようやく事態が把握できたのか、久米は僅かにまばたきをして
「…凄い力だね。意外…」
呆然と言った。
「あたしが荷物も持てないか弱いただの女子高生だと思った?
残念だけど違うよ。
こう見えても小さいころ空手を習ってたし、先輩にしめられそうになっても一人で対抗した女。
言ったはずよ?
あたしは守られてばかりの可愛いお姫様じゃないって―――」