HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「ゆずはさっき食べたでしょ?ほら、僕は水を飲むからちょっと待ってて」
とゆずを引き剥がそうとしたけど、ゆずは離れない。
僕のバスタオルの裾に噛み付いて、ぐいぐい引っ張る。
「こら、ゆず~」
ちょっと怒るフリ(実際には怒ってないケド)をすると、ゆずは面白そうに僕のバスタオルを引っ張った。
雅が居ないとは言え、あんまりこんな格好でうろうろするのは行儀が悪い。
僕がしゃがみ込んで、ゆずをタオルから引き剥がしていると、
「何じゃれ合ってるんの?」
と、頭上から聞きなれた声が聞こえてきて、僕は思わず固まった。
「まこ。どうしてここに?鍵は!?」
呆れたように腕を組んで僕を見下ろすまこ。
「開いてたぜ?それでも一応インターホン鳴らしたんだけどな。お前気付かなかった?」
「全然」
「相変わらず抜けてんな~。大丈夫かよ、お前」
目を細めて、僕をじろじろと無遠慮に見渡す。
僕は何だか気恥ずかしくて、ゆずを抱きかかえた。
するとまこは視線以上に無遠慮な声で、
「お前痩せた?」
と、一言。
グッサーーー!!
「気にしてること言わないでよ!」
僕は思わず喚いた。