HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
それ以来騒音に悩まされたことはないのだが……
夏なんかたまに窓を開けて寝ると、夜中にリアルな女の淫れる声が聞こえくることはある。
隣室の男が、どうやら女性を連れ込んでいるみたいだ。
雅と一緒に眠りについていた僕だけど、そのときは流石にびっくり。
雅は普段から眠りが浅いほうだからすぐに気付いたらしい。しばらくは黙って布団にくるまっていたが、僕が起き出してくると流石に眉をしかめた。
「絶倫野郎」
とボソッと呟いた言葉に、僕は再びびっくりして、それでも僕自身するときは窓をきちんと閉めようと誓った。
マンションてのは共同住居だから、その辺の気遣いは大変だ。
だけどそれさえ気をつければ結構快適だったりする。
「隣の部屋からセックスする声?あぁ、あるある!」
とまこも納得したように下品に笑った。
「それにしても絶倫野郎って…くくっ。あいつやっぱおもしれぇな」
口元を押さえて、まこは笑いを堪えた。
だけどその笑顔をすぐに消し去ると、
「そう言えばあいつ自身どうなの?乱れることってあんの?」
と聞いてきて、
「誰が教えるか」
と、僕は白い目でまこを睨んだ。
「なんかあいつってすっげぇテクもってそうだよな?♪だけどああゆうタイプに限ってベッドでは大人しくなるかも♪」
僕は今度こそ、まこの胸ぐらを掴んで、
「それ以上想像しないでくれる?」
と声を低めて睨むと、まこは苦笑いを浮かべて両手を上げた。