HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
■Chairs.3
■Chairs.3
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―――もし、逆向きに回る時計が存在するのなら、あたしはこの時間に逆戻って、やり直したい。
一体どこから間違っていたのか。
時を刻む秒針と共に考えたい。
だけど、人間なんて間違いだらけだ。
ヒトは失敗して、過ちを侵し―――そこでようやく気付く。
―――そういう生き物。
水月が会いに来てくれた。
何もかも知ってて、それなのに危険を顧みず―――あたしを心配してくれた。
嬉しかった。でも、それと同時に早く彼の腕の中に飛び込みたいと切に思った。
だからその晩―――あたしは“罠”を仕掛けた。
すぐに食いついてくる可能性は20%程。可能性は低いけど、食いついてくるまで仕掛け続けるつもり。
長期戦になることを覚悟して、それでもこの可能性に賭けていた。
罠を仕掛けて、ベッドにもぐりこんだのが深夜の1時。
布団に入りこんだとき、覚えのある僅かな痛みが下腹部に走り、思わず顔をしかめた。
そう言えば―――……予定よりだいぶ遅れていたな。
不安や緊張でホルモンバランスが崩れていた、って言った方が妥当だろう。
そう、ただホルモンバランスが崩れているに過ぎないのだ。
だから、またあの変な夢を見た―――