HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「参考程度に言うと、A組の出し物は“マーメイド・カフェ”に決まったらしい」と水月が腕を組んであたしらを見た。
「マーメイドカフェ?何それ」あたしが聞くと、
「人魚姫を題材にしたカフェだって。噂じゃ予算もかなり集まりそうだし、凝った模擬店になりそうだよ」
A組…2年生から設けられる特進クラスで、学年の中でも特に成績優秀な生徒が集まったクラス。
成績上位30名には1年生の後期に「特進クラスに進む気がある」旨を聞かれる。
ここで承諾するのもしないのも本人の自由。
その話を蹴ったからって何かあるわけではないし、逆に頑張って特進クラスに入りたいと望む者もいる。
あたしももちろんそのお声が掛かったけど、
答えは「No」。
教師たちもその答えにほっとしていたみたいだ。
ガリ勉ばっかの真面目ちゃんたちに囲まれて学校生活送るのなんてごめんだ。
それならまとまりのない問題児クラスの方がよっぽど楽。
と考えるのはあたしだけで、
梶をはじめとする、所謂(ユエン)落ちこぼれ的な不良たちは何かとつけてA組を眼の仇にしている。
「なにぃ!?A組がマーメイドカフェ!?」
案の定、水月の言葉を聞いた梶は、勢い込んで机を叩いた。