HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「じゃぁこっちはシンデレラで勝負だ!」
何の勝負だよ。
呆れてあたしはため息を吐いた。
「シンデレラカフェ?それじゃA組の真似だし捻りがないじゃん」と久米。
「捻り?そんなもん必要ねぇ!ようはどっちが目立つかってことだ」
梶の大きな声はクラスを奮起させるのに効果的だった。
他の話でそれぞれ盛り上がっていた生徒たちが、こっちに注目して、
「そうだ、そうだ!A組になんか負けてられるかっ!」って怒り出した。
「A組なんてどうせ成績アップの目的で大賞狙うって魂胆でしょ?」
「そうだよー!おべんきょしかしてこなかったガリ勉たちに負けてらんない!」
と一気に場が盛り上がった。
何か…安っぽい青春ドラマ見てるって感じ?
あたしは冷めた目で室内を見渡した。
「でも目立つ企画ってどんなの?」と久米が梶を見る。
「それはそうだな…」と梶も考え込んだ。
「予算の関係もあるし、あんまり派手なものは出来ないと思うよ」と森本さんが冷たく言う。
「票の内訳が一番大きいのは、やっぱ一般者からの投票だよ。だから一般者受けするのが一番いいんじゃない?」
あたしの言葉に三人は意外そうに顔を合わせた。
何だよ、あたしが意見しちゃ悪いの。
そう睨むと、梶が慌てて目を逸らし、久米は
「確かに」と頷いた。
「一般者受けって言うとやっぱ店関係だよなぁ。そうなると喫茶店とかに限られるし」
そう梶が呟いたと同時だった。
「はい」
さっきまで無関心そうにケータイを触っていた乃亜が挙手した。