HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「あいつは頭がキレるヤツだよ。一気に仕掛けるわけじゃなく、お前を挑発するというやり方で、徐々に敵意を自分に向けさせた。
そうすることで、お前があいつに向って行こうとすると踏んだんじゃないか」
そうかもしれない。
だけど、そうとも言えない事柄も多い。
アポロニウスの定理―――
あれはどう説明する?
あれ自体僕の思い過ごしだと言うのか。
考え過ぎだと言うのか。
まこの言うとおり、久米は相当頭がキレる。彼が何の考えもなしにあの定理を僕に見せたとは思えない。
だけど、現実に久米は“あの階段”で僕を“挑発”してきた。
あの場だけではない。
これまでだって幾度と無く。
仲間か
それとも敵か―――
分からない。