HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


「あいつは頭がキレるヤツだよ。一気に仕掛けるわけじゃなく、お前を挑発するというやり方で、徐々に敵意を自分に向けさせた。


そうすることで、お前があいつに向って行こうとすると踏んだんじゃないか」


そうかもしれない。


だけど、そうとも言えない事柄も多い。




アポロニウスの定理―――




あれはどう説明する?


あれ自体僕の思い過ごしだと言うのか。


考え過ぎだと言うのか。


まこの言うとおり、久米は相当頭がキレる。彼が何の考えもなしにあの定理を僕に見せたとは思えない。


だけど、現実に久米は“あの階段”で僕を“挑発”してきた。


あの場だけではない。


これまでだって幾度と無く。





仲間か


それとも敵か―――






分からない。






< 399 / 841 >

この作品をシェア

pagetop