HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「演劇はどうかな?その後に出演者がメインで劇風にセットした教室で喫茶店やるの」
乃亜の意見に、
「あ、それいいかも!♪インパクトもあるしな。そんなこと今までなかったから斬新かも♪」と梶はご機嫌に頷いた。
「でもそれじゃ予算が集まらないよ。スケジュールもハード過ぎるし」と森本さんが声のトーンを低める。
乃亜は面白くなさそうにちょっと森本さんを睨んだけれど、それでも大人しく席に座った。
「劇かぁ、いいかも」
「二重構成って今までなかったもんね」と周りからは好感触だ。
久米はちょっと考えるように首を傾げて、
「予算の方なら都合つくかも。俺、演劇部だからセットとか衣装とか頼めば貸してくれるだろうし」
へぇ…演劇部…意外……
そんな思いで目を細めていると、久米は黙って傍観していた水月を見た。
「先生はどう思います?そうゆうのってダメですか?」
急に話を振られ水月はちょっとびっくりしたように目を丸め、それでも少しだけ考え込むと、
「うーん…悪くはないと思うよ。だけど今までに例がないから。でも劇って言うとやっぱり体育館の舞台を必要とするわけだろ?今から使用権を取れるかどうか…」
「大丈夫!それは俺が力づくでぶんどってやる!」と梶は袖をまくって腕を曲げた。
力ずくって、喧嘩じゃないんだから…
「何かいい方向に進んでない?これで推し進めようよ」と何故か久米はあたしに同意を求めてきた。
「あぁ、うん」曖昧に頷いて、内心では
なんでもいいよ。とりあえず面倒くさくなけりゃ。と考えてるあたし。