HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
謎が謎を呼び、
疑問だけが浮いたり消えたりで、僕の頭の中が酷く気持ち悪かった。
それから数分後、久米と森本を連れて行った和田先生がおずおずと保健室に顔を出した。
和田先生も授業があるだろうに、彼の受け持っているクラスもまた『自習』になっている。
さすがにあの普通ではない現場に居合わせたので、彼も授業どころじゃなかったかもしれないけれど。
「森本は少し落ち着いたので授業に出ると言って教室に戻っていきました。
久米も特に取り乱した様子はなく、首にあざなんかの類いはなかったですし、本人もしっかりとしています。
彼も授業に戻ると言いましたが、もう少し僕の準備室で休むよう言い聞かせました」
和田先生はてきぱきと説明をくれた。
特に怒っているという様子はなく、ただ困惑はしているようだった。
語尾が変な風に吊りあがっている。
「すみません、ご迷惑をお掛けして」
深々と謝ると、和田先生はちょっとバツが悪そうに頭を掻いた。
「あー、先生もどうですか?ここでコーヒーでも。今からだったら授業にならないでしょう」
まこが、和田先生にパイプ椅子を勧めると、和田先生はほっとしたように椅子に腰掛けた。
さっきの一面で僕が雅と付き合っていると知った筈。そして久米が雅に何らかの感情を持っていると言うことを知った筈。
その真相を僕の口から聞きたがっている感じだった。
あんな場面を見られたからには、僕はもう言い逃れはできない。
少なくとも和田先生は僕を止めて、助けてくれた。
このままだんまりってわけにもいかない。
僕は和田先生を見ると、和田先生がちょっとだけ困ったように眉を寄せ、それでも口元に淡い微笑みを浮かべていた。