HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「まぁ人それぞれ事情はありますし、僕はあなたたちの関係を告げ口するつもりもありませんよ。不用意に口外するつもりもありませんし。
それだけは安心してください」
和田先生に言われて僕はほっと大きなため息を漏らした。
「しかし教師と生徒と言う関係は、思った以上に大変ですよ?
特に年頃の生徒たちはそうゆうことに敏感ですし、気をつけたことに越したことはない。
久米と森本にも僕から言っておきます」
和田先生の配慮がありがたかった。
教師として咎めることもなかったが、率先して応援してくれてるってわけでもなさそうだ。
彼も一人の教師であり、人間である。その立場が大きく影響していると言って過言ではないだろう。
また違う環境ならば、きっとこの人は僕の背中を思い切り押してくれる。
そんな気がした。
「だけど森本が僕を呼びにきてくれて良かったですよ。あのままだったら大ごとになっていましたからね」
和田先生が思い出したようにちょっと苦笑いを浮かべた。
そう言えば………
森本―――何故あの場所に居たんだ?
偶然―――にしちゃでき過ぎてる気がした。
あの場所は普段使われていない階段だ。
僕が通ったのだって、たまたまだ。
そう言えば、久米も―――……