HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


「問題はどんな劇を演じるかだよなぁ。やっぱA組に勝てる題材じゃないと」と梶は難しい顔で腕を組んだ。


「ちょっと。ホントにそれにするつもり?予算は良いとして、時間配分なんかはどうするのよ!準備も、当日もハードすぎる」


と森本さんが現実的なことを言ったけど、梶は聞く耳を持たない。


「そんなんどうとでもなるだろ?」とちょっと面倒くさそうに顔の前で手を振っている。


「まぁまぁ。演劇は午前中で終わらせて午後のティータイムぐらいを狙って喫茶店を開けば当日は問題ないんじゃない?準備だってセットや衣装は出来上がってるから教室を飾るだけだし」と久米が冷静に答え返した。


「そうだ、そうだ!っで、劇はどーする??」と梶が同意して、森本さんもそれ以上は言わなかった。面白くなさそうにぐっと拳を握っている。


「小難しいのよりも、誰にも分かるストーリーがいいよ」


あたしが言うと、またも久米と梶は顔を合わせた。


さっきからあたしが発言するとこの反応は何??


「それがいいよな!やっぱシンデレラとか♪」と梶はすぐに機嫌を変えてにこにこ言う。


梶…どんだけシンデレラがやりたいんだよ。


そのほかにも、


“美女と野獣”“眠りの森の美女”“アラジン”とかアイデアが方々から意見が出た。


どれもディズニー映画だ。


ま、誰でも知ってるストーリーだし、簡単だからやり易いっちゃやり易いけど。


その中で久米は




『白雪姫』を提案した。






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