HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
白雪姫の美しさに嫉妬した女王さまが、魔女に変装して毒りんごを食べさせ、殺そうとするストーリー。
久米の説明では、ストーリーの分かり易さもさながら、喫茶店のウリを“アップルパイ”やら“アップルティー”で宣伝できる効果も狙っているらしい。
「「「それ!いいね!!」」」
久米の説明は分かり易く、話し終えるころにはクラスの半分以上がその意見に同意し、
結局劇は
『白雪姫』になった。
話はトントン拍子に進み、ついでにこのロングホームルームを利用してキャストも決めちゃおうってことになる。
「ってか早すぎ。台本だってできてないのに」とあたしがちょっと冷めた声を出すと、
「台本はキャストが決まってから、その人のイメージに合うように作るよ」と何故か台本は久米が作成することになってるし。
ま、こっちとしては面倒なことを引き受けてくれて助かるけど。
ってかイメージって…白雪姫のイメージなんて清楚で可愛らしいお姫様でしょ?
あー…なんかふわふわした乃亜にぴったり…
なんて乃亜の方を見ていると、
「さて…白雪姫だけど……」と言いかけて、久米はちらりとあたしを見た。
梶も何か気付いたようにあたしを見る。
何なの?
訝しげに思うと、クラスのほとんどがあたしを注目してた。
「いいじゃん。ここにイメージぴったりのヤツがいた♪」と梶がご機嫌に頷いて、黒板に
白雪姫:鬼頭 雅
と勝手に書き込んだ。