HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


は―――!?ちょっと待ってよ!あたしが白雪姫!?


「ありえないって」


声を低めて梶を睨むと、隣で久米があたしに笑いかけた。




「だって外見だけだったら、白雪姫のイメージじゃん。


黒い艶やかな髪、透き通るような白い肌。





血のように赤い―――唇……」






久米は意味深にあたしをみつめて、うっすらと笑みを浮かべる。


何……こいつ―――


久米の意味深な発言に、誰も疑問に思った様子はないようだ。


「じゃ、俺!王子様立候補♪」とすかさず梶が手を挙げる。


「俺が王子立候補!」


「俺も」


「俺も!」


と方々で席が、ガタガタ鳴った。気付いたらクラスの男子の殆どが勢いよく手をあげて、立ち上がっていた。


なんなのこいつら…そう思って、何気なく水月の方に視線をやると、彼も下ろした腕の先で手首をちょっと曲げて挙手の形を取っていた。





水月まで…


そんな思いで、彼をちょっと睨むと水月は照れ笑いを浮かべながらも慌てて手を下ろした。





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