HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


「俺も立候補しよっかな♪」


なんて言いだして久米がにこやかに挙手すると、今度はクラスの女子たちがざわめきだす。


「えぇ~!久米くんが王子さまなら、あたし白雪姫やりたい!」


「あたしだって!」


なんかもう…ぐちゃぐちゃ…


うんざりした気持ちでため息をつくと、


「じゃぁ公平に投票方法で行きましょう!誰が王子にふさわしいかじっくりみんなが考えて投票するんです。それなら文句ないでしょ!」と森本さんが冷静に提案した。


森本さんの意見は説得力があって、誰も反対する者はおらずすぐに投票がなされた。


あたしは当然―――もし自分が白雪姫になってしまった場合を考えて、“梶”に一票入れた。


どうか梶が王子さまに決まってくれますように。


そんな願いを込めて投票したけれど、あたしの願いも虚しく




王子役には予想した通り、久米がなった。


クラスの女子のほとんどが投票したに違いない。





だって梶は王子さまって言うより、ヤンキーだもん。


見るからに爽やか系の久米の方がイメージに合ってる気がする。






ホントは……


あたしはクラスを眺めている水月の横顔を見て、





水月が王子様だったらやる気でたのにな―――






なんて絶対ありえないことを考えていたり……





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