HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


白雪姫の役も結局あたしに決まって、その日はホームルームを終えることになった。


予算や日程なんかはまた今度の時間に決めるつもりだ。


あたしは急に力が抜けたように、自分の席に辿り付いた。


「おかえり~、大変なことになったね」と乃亜も苦笑い。


「乃亜!元々あんたが提案したんでしょ。白雪姫は乃亜がなるべきじゃない!」とちょっと小声で怒ると、


「だってこうなるなんて思ってなかったもん」と、それでも乃亜は申し訳なさそうに顔の前で手を合わせた。


「ちなみに乃亜ちゃんは誰に投票したの?」と前の席から身を乗り出して、梶が乃亜に聞いている。


「そんなの決まってるじゃない♪久米くん♪」と乃亜はさらり。


「ひっでぇ!俺じゃねぇのかよ!」梶は本気でがっくり来たように肩を項垂れた。


「でも雅がお姫様役だったら、明良もおもしろがるかも♪当日呼んでもいい?」なんて恐ろしいことを言い出すし。


「絶対にヤメテ」


あたしは本気で乃亜を睨んだ。












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