HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
疲れ切ってぐったりしたままあたしは乃亜と帰ることに決めた。
昇降口の下駄箱で靴を替えようと開くと、揃えた靴の上にまたも一通の手紙が添えてあった。
真っ白な封筒。
ドキリとしてあたしはその封筒を乃亜に見られないよう、彼女に背を向けて開いた。
中には一枚の写真と、白い紙が一枚。
写真は、あたしと乃亜、そして梶が机を合わせてお弁当を広げているところだった。
手紙を慌てて広げると、
『いつも三人でいるね。この彼は君の大切な人?だったら許せないな。僕という男がいるのに。
君ハ裏切リ者ダ』
と、またも新聞やら雑誌の切り抜きが載っていた。
あたしは写真を慌てて見返して、そして梶の笑顔を凝視した。
“この彼”―――ってのは、梶のことだ。
言うまでもなく梶は友達だけど―――大切な人には代わり無い。
写真を改めて見ると、随分と鮮明にその様が映っていた。
どこか近くで映しているのか、それとも高性能な望遠レンズのカメラを使用しているのか。
でも
裏切リ者―――
その言葉に、はじめてあたしの背中にぞくりと嫌な汗が流れ落ちた。