HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~






「冬夜は―――二年前に、当時仲良かったクラスメイトの女の子をストーカーの変質者から庇って、


右手に怪我を負いました」






とつとつと喋る言葉は、時間にしてたった数秒だった。



やっぱりそうか―――




半分…いや、半分以上想像していたことだけど、


僕が求めていた答えは、何てあっけなく告白されたのだろう。


僕はもっとドラマチックな何かを求めていたのだろうか。


本格推理小説や、映画では主人公はかなりの遠回りをして、それでも確実に答えの欠片を手にし、一つ一つ階段を昇り、やがては決定的な場面で犯人を割り出す。


刑事や探偵が出てきて彼らが手助けしてくれたり、或いは彼らが主人公だったり。


だけど実際僕たちは刑事でもなければ探偵でもない。


私立高校の教師だし。(何だか格好がつかないけど)ついでに言うと、手助けしてくれるのは親友であり、医者だ。


そう、これは小説やドラマなんかじゃない。


今も続いているのだ。




犯人は、まだ


ヒロインを狙っている―――










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