HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
■Chairs.7
■Chairs.7
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『またね、水月』
彼の手を離したとき―――……彼の体温が遠ざかったとき―――
あたしは最後の覚悟をしたのかもしれない。
もうとっくに覚悟なんてできてたけど、簡単に死ぬつもりもないし、ストーカー野郎のいいなりになんてならないつもりだったけれど、
あの瞬間―――嫌な何かを感じて、あたしはそれを受け入れる心積もりをした。
映画『シックス・センス』を思い出す。
あたしはホラーがあまり好きじゃないけど、水月が好きで一緒に観たんだ。
あのふわふわ甘い顔で、意外にホラー系の映画が大好きな水月。最初知ったときは意外すぎるほど驚いた。
だってあたしよりダメそうじゃん?
水月はたまに、見た目やイメージを見事に裏切ってくれることがある。
遊園地の絶叫系の乗り物が大好きだったり、案外虫とか平気で触れたり。
その反対で、保健医の方が案外そういうのダメだったりして、笑える。(あいつああ見えてビビりだったりする♪)
あのときも、
『一人で観るから寝ておいで』
と言われたけど、彼の好きなものをあたしも知りたいって想いで一緒に観た。あたしって単純?
そんな想いで、怖がりながらもいつも一緒に見ていたあたし。
シックスセンスとは―――『第六感』
少年“コール”の第六感は幽霊が見えてしまうという霊感だった。
あたしに霊感はないし、幽霊を見たわけじゃない。
だけど―――
もし霊感とは違う何か第六感が存在するのなら―――あの一瞬であたしは“予知”をしたのかもしれない。まばたきをした瞬間に、目の裏で見えた。
真っ赤に染まる―――
赤い手を―――