HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


カラクリはこう。


二限目の後の休憩時間にUSBを梶に手渡し、その内容は





『久米が何故あたしたちの行動を知っていたのか、そしてあたしが水月をハめるために何をやったのか詳しく知ったのかは、


―――乃亜があいつに教えてたから』




その一文を読んで梶はどう思っただろう。


びっくりしただろうな。だからあたしに何度も確認してきたんだ。


信じたくないって気持ちでいっぱいだったに違いない。





『でもあたしは乃亜が裏切ったとは考えられないし、考えたくない。何か理由があるとしか言いようがない。




あたしは駅前の“empoisonné”に犯人をおびき出した。


その向かい側に“Foxed”って言うカフェがある。乃亜はそこに来てもらうよう伝える。


何故違うカフェかって言うのは、乃亜には少しでも危険から遠ざけたいから。


それから―――その情報を知ったら、乃亜が久米に伝えるはずだから。


この事実を知る筈のないあいつが来たら、あいつは間違いなくクロ。


何らかの事情で関わっているのは確実なこと。




明良兄には事情を打ち明けて、あたしが向かう“empoisonné”について来てもらうことにした。


梶は―――反対かもしれないけれど、あたしが行くしかないの。


強制ではないし、あたしはできれば危険なことに巻き込みたくない。それでもついてきてくれるって言うのなら



お願い。協力して





この文章を見たらあたしのメッセージは削除して。すぐに乃亜に渡してね


うまく行けば



久米も、右門 篤史もおびき出すことが出来る―――



ヨロシクね梶。


         雅』



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