HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
久米は明良兄と面識がないから、顔を出しても大丈夫だと踏んだのだろうか。
甘いね。
明良兄が送ったメールのお陰で、すぐに
乃亜も現れた。
―――カードが一枚ずつ揃ってきている。
そう実感できた。
だけどまだ足りない。
あと一枚―――
出て来いジョーカー
いや、エース(A)か
右門 篤史―――出て来い。
そんな想いでじっとりと前のカフェを睨みながら、あたしはケータイを握った。
あたしははっきりと右門 篤史の顔を知らない。
卒業アルバムで一度見たけれど、昔の写真だし顔が変わってるかもしれない。
あいつが現れる前に犯人が姿を現すか。
どちらかだ。
どちらにせよ、見つけたらとっ捕まえるだけ。
捕まえたら吐かせればいいだけのこと。
そんな想いで、あたしたち三人は向かいのカフェとその周辺にきょろきょろと視線を這わせた。
乃亜は久米を見つけると、久米に駆け寄って何事か話している。二人で店の中を覗き込み、怪訝そうな面持ちで神妙に話し合ってる―――ように見えた。
やがて二人が話し込んでいるところに、一人の男―――若い…
やつが近づいた。
背格好は、久米と似ている。
「おい……」
梶が目配せしてその男の方を顎で指し示す。
あたしは目を細めて身を乗り出した。