HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
その笑顔がどこか純粋な笑顔には見えなかった。
作り物めいた、それでいて何か裏があるような笑みだ。
「先生ってよくお人よしって言われません?」
急にそう問われて、僕は面食らった。
言われるけど……
何か久米の前で認めたくはないな。
僕が唇を引き結んで黙っていると、
「俺が実行委員になったのも、白雪姫の劇を提案したのも、主役に鬼頭さんを推薦したのも、
全部下心があってのことです」
下………心―――?
「俺、鬼頭さん好きなんですよね。でも一筋縄じゃいかなさそうだから、ちょっと回りくどいけど。
まぁ作戦です。だから純粋にクラスを引っ張ってこうとかそうゆういいもんじゃないです」
言葉とは反対に、久米は爽やかに笑った。
久米は―――僕と雅が付き合っていることを知らない―――筈。
なのにまるで挑発されてるような
そんな物言いだった。